庭の桜は葉桜に
樹と呼べるものは他になし木立ダチュラ(エンジェル・トランペット)はまだ枯れ木状態。
レモンの木を植えたが昨年は花も咲かずじまい
なにしろ夏の間は、ダチュラの枝が蔓延って日照を受けないので。
その横に20年以上の椿。
母方の従兄の家の庭の実生を譲り受けたもの。
いまが見ごろかも。
しぼりの入ったものと、赤い花が咲き分けする。
特に珍しくないはない。
雨模様の寒い日だった。
水路のなずな。
水は何処から流れて来るのか知らないが、綺麗なみずである。
富松川へ流れ込むのであろう。
薺と言えば、粥の句ばかりか?
例句は200句以上。
- 替る世や薺にあらて鐘の音 乙由 (薺の句を残して死し人のもとヘ)
- 亡母の声とまがふ吉野の薺売り 三宅美穂
- 昨日より薺摘みゐる寺男 白方昭女
- 胞衣塚に産毛のごとく薺生ふ 辻田克巳
- 千枚田より摘みきたる薺なる 斎藤梅子
- わが庭に叔母も来て摘む薺あり 市村究一郎
- 薺爪つむしばらくが女の眼 加藤楸邨
- 晴天の山ひとつ負ひ薺粥 広瀬直人
- けふすこし早起きしたる薺粥 守山琴女
- 薺粥独りの音を立てにけり 渡辺桂子
- 八方の岳しづまりて薺打ち 飯田蛇笏
- 山脈に闇なじみたる薺打 長崎玲子
- まん中に巫女ゐて薺囃かな 生田嘉子
- 母よりは高き声上げ薺打ち 九鬼あきゑ
- 薺打つ細め細めし粥の火に 赤松子
- 薺打って打つて昔を引寄せる 茂木白燕子
- まなうらにふるさとの海薺打つ 小久保洋子
- 裃を着け端然と薺打つ 本岡歌子
- 薺打つ姑の生涯すこやかに 小池美千子
- 薺咲く道は土橋を渡りけり 平井照敏
- 田はじめの遅れ薺の花ざかり 森田公司
- ころがりし仔犬の碗や花薺 伊東 奈美
- 洪水や嬰児の声が遥かにあり 薺 次郎
- 永遠が戦いでいるか枝の先 薺 次郎
- 昨日より今日新しき薺花 細見綾子
- よく見れば薺花さく垣ねかな 松尾芭蕉
- 薺打つ無双の母となりにけり 齋藤玄 『舎木』『飛雪』
- 薺打つ音か女の哀しい音 加倉井秋を 『武蔵野抄』
- 薺売五重塔に詣でんと(瑠璃光寺五重塔は大内義弘が菩提とや) 飴山實 『次の花』
- なつかしき道選り歩く花薺 高浜虚子
- 昨日より今日新しき薺花 細見綾子
- 畦漏の走りわかれや花薺 高野素十
- 摘み残す薺は花にあらはれぬ 正岡子規
- よく見れば薺花さく垣ねかな 芭 蕉
- 旅淋し薺咲く田の涯しらず 阿波野青畝
- 花薺揺れ触る水輪水たまり 中村草田男
- 庵を出でて道の細さよ花薺 河東碧梧桐
- 病室も常の日となる薺粥 古賀まり子
- 大鍋に炊きあふれけり薺粥 高橋淡路女
- その年のその日のいろの薺粥 飯田龍太
- あをあをと薺の粥を吹きにけり 黒田杏子
- 七種や薺すくなの粥すする 臼田亜浪
- 食べごろの湯気あそばせて薺粥 檜 紀代
- 薺粥箸にかからぬ緑かな 高田蝶衣
- 薺打つ大瀬に雪のしまきつつ 飯田龍太
- 妹が子は薺打つ程に成にけり 成 美
- 薺打つ音が母呼ぶ亡き母を 林 翔
- 八方の岳しづまりて薺打 飯田蛇笏
- 大利根の霜をかきわけ薺つむ 加藤知世子
- 薺摘む頬にしたがへる雪の阿蘇 中村汀女
- ぬれ縁や薺こぼるる土ながら 嵐 雪
- 薺摘む安曇平の日溜りに 石 昌子
- うぶすなに尽く畦道に薺摘む 吉田以登
- 古畑や薺摘行く男ども 芭 蕉
- 俎に薺用意や六日の夜 大谷句仏
- 包丁の真新しさが薺打つ 小阪喜美子
- まな板に旭さすなり芹薺 泉 鏡花
- みかど崩御いまも胸打つ薺の日 富田潮児
- すぐそこに母の世があり薺爪 中村祐子
- 爪垢や薺の前もはづかしき 一茶
- 薺粥家持ち上げる風の出て 上原富子
- アメリカの大屋根の下薺粥 秋本敦子
- 蓋とれば野の明るさの薺粥 谷口稠子
- 里心つましホテルの薺粥 今関幸代
- 薺粥痴呆の母の口へさざなみ 安西 篤
- 薺粥さらりと出来てめでたけれ 大橋杣男
- 薺粥もしやの二人ごころして 諸角せつ子
- 八方の岳しづまりて薺打 飯田蛇笏
- とけそめし七草粥の薺かな 星野立子
- ゆきばらのけさもやめるや薺粥 久保田万太郎
- はづかしき朝寝の薺はやしけり 高橋淡路女
- 俎板の染むまで薺打ちはやす 長谷川かな女
- あの藪に人の住めばぞ薺打つ 一茶
- 膝に来る子のいつまでや薺粥 深澤 厚子
- 薺打つ音につながる母は亡し 林 翔
- 薺打つ音をも聴かず住み古りぬ 杉山 岳陽
- 薺打来世も父母を父母とせむ 渡邊千枝子
- 薺打つ音に目醒めて二日酔 根岸善雄
- 薺打つてわづかに老の胸ともる 黒木 夜雨
- 夫待ちてはやす薺の一握 塩谷はつ枝
- はやし唄母より洩れて薺打つ 遠藤喜久女
- 芹薺御形*はこべら犬の糞 佐々木六戈 百韻反故 初學
- 薺咲いて足音ひそめざるを得ず 岸田稚魚
- 旅淋し薺咲く田の涯しらず 阿波野青畝
- 歩くこと愉しからずや薺咲き 和地清
- 俎をこぼるゝ薺すゞ白も 藤岡うた代
- 一籠の薺にまじる御形かな 吉田冬葉
- 薺洗ふ掌の中みどりたのしめる 中城浪香
- ふるさとの不二かゞやける薺かな 勝又一透
- はづかしき朝寝の薺はやしけり 高橋淡路女
- 薺つむ遠くの景としての海 森薫花壇
- ひとり摘む薺の土のやはらかに 中村汀女
- 東京の薺摘みくふなつかしく 加藤楸邨
- 我顔に薺とばしるうれしさよ 松瀬青々
- 明け方に降りたる雪の薺摘む 田村木国
- 別れ来て浅き薺の径かな 佐藤惣之助
- 薺爪あとより紅ををしにけり 青木月斗
- 畑のもの薺に足せり七日粥 滝村正道
- 摘むほどもなき薺爪つみにけり 室積波那女
- 薺粥はやくも不義理二つかな 江口千樹
薺爪とは:
1月7日、七種粥の汁や薺(なずな)の洗い汁に手を入れ、爪を柔らかくしてから切ることで、その年一年の無病息災を祈るという風習。邪気を払うと信じられていた。七種爪・七草爪(ななくさづめ)。七日爪(なぬかづめ)。菜爪(なつめ)。
偶々の1月7日爪を切る