- 十団子も小粒になりぬ秋の風 許 六
- 十団子や寺のまはりに山眠り(宇津谷慶竜寺) 細川加賀 『玉虫』
- 十団子も小粒になりぬ秋の風 許六 (宇津の山を過ぐ)
- みたらしやきのふは吾妻の十団子 宗因
- 十団子も小粒になりぬ秋の風 許六 七 月 月別句集「韻塞」
- さみだれや棹にふすぶる十団子 左柳 俳諧撰集「有磯海」
- 街痩せて西日まみれや憲吉忌 楠本憲吉
- 年酒受く今年限りの娘の手より 楠本憲吉
- 洗はれて白菜の尻陽に揃ふ 楠本憲吉
- 日曜や匂ふばかりに枯木の秀 楠本憲吉
- 風立つや風にうなずく萩その他 楠本憲吉
- 紅葉且散るカーディガン肩辷りがち 楠本憲吉
- 嵐めく夜なり檸檬の黄が累々 楠本憲吉
- 螻蛄鳴くや薬が誘ふわが眠り 楠本憲吉
- ねぷた今遠景と過ぎ消される町 楠本憲吉
- 漬茄子の紺冴え冴えと赤坂昏れ 楠本憲吉
- 司祭館覗く夏樹の秀も麻布 楠本憲吉
- 汝が胸の谷間の汗や巴里祭 楠本憲吉
- 夏料理燦たり昏れゆく河口背に 楠本憲吉
- 「くずきりあります」鍵善良房梅雨漕氾 楠本憲吉
- 女人過ぐ海苔簀の海苔の艶増して 楠本憲吉
- 薔薇よりも青年匂ふ聖金曜日 楠本憲吉
- 憲法記念日をひた走る快速車 楠本憲吉
- いまに自爆かオロロン岬の物憂い夕日 楠本憲吉
- 冬麗の陽を載せ誰も居ぬベンチ 楠本憲吉
- 少年の商才かなし九月尽 楠本憲吉
- 秋汐を犬と踏み彳ち少女期過ぐ 楠本憲吉
- 螻蛄鳴くや薬が誘ふわが眠り 楠本憲吉
- 採血や雨後なほ燃えて百日紅 楠本憲吉
- 妖と開き煌と香りぬ月下美人 楠本憲吉
- 舟虫や灯台の玻璃どれも厚し 楠本憲吉
- 熱帯魚飜り交すは愛語らし 楠本憲吉
- 南風が繰りたがる我が懺悔録 楠本憲吉
- 憲法記念日をひた走る快速車 楠本憲吉
- 寝返れば秒音うまる春の闇 楠本憲吉
- 三鬼忌のハイボール胃に鳴りて落つ 楠本憲吉
- 山笑ふふるさとびとの誰彼に 楠本憲吉
- つぶやきて生きるとは何冬青草 楠本憲吉
- 鏡開き父の後姿に老まざと 楠本憲吉
- 書見器が掴む「チボー家」読初めに 楠本憲吉
- 年酒受く今年限りの娘の手より 楠本憲吉
- 花八手薄き乳房は嘆くべし 楠本憲吉
- 漬茄子の紺さえざえと赤坂昏れ 楠本憲吉
- 白南風にかざしてまろし少女の掌 楠本憲吉
- 薔薇よりも青年匂ふ聖金曜日 楠本憲吉
- 蝋涙やたたかふごとく彼我の咳 楠本憲吉
- 父への憎しみ消えぬ父の忌雪つぶて 楠本憲吉
- 螻蛄鳴くや薬が誘ふわが眠り 楠本憲吉
- 虫鳴いて裏町の闇やはらかし 楠本憲吉
- 原爆忌の睡り誘ふ夜風欲し 楠本憲吉
- 少年の商才かなし九月尽 楠本憲吉
- びいどろの花器からつぽの秋まひる 楠本憲吉
- 夏草こそ崖の王冠雲湧くとき 楠本憲吉
- 採血や雨後なほ燃えて百日紅 楠本憲吉
- 寝つかれぬ子へ孑孑の沸きつづく 楠本憲吉
- 熱帯魚翻り交すは愛語らし 楠本憲吉
- 汝が胸の谷間の汗や巴里祭 楠本憲吉
- 債鬼の間駈け白靴の減りざまよ 楠本憲吉
- 夕立あと截られて鉄の匂ひをり 楠本憲吉
- 白南風にかざしてまろし少女の掌 楠本憲吉
- 名曲いま潮満つごとし夜の秋 楠本憲吉
- 朝森に点き満天星の豆ラムプ 楠本憲吉
- 三鬼忌のハイボール胃に鳴りて落つ 楠本憲吉
- 薔薇よりも青年匂う聖金曜日 楠本憲吉
- 花祭薄く削がれて女の咳 楠本憲吉
- 舞台の風花東踊の妓に髪に 楠本憲吉
- 憲法記念日をひた走る快速車 楠本憲吉
- 春疾風木々は根を緊めおのれ鳴らす 楠本憲吉
- 山眠り椎の実あまた降らせたり 楠本憲吉
- 秋かぜの山脈おのが影いだく 楠本憲吉
- 山笑ふふるさとびとの誰彼に 楠本憲吉
- 贖罪のごとし夏野へ妻子率て 楠本憲吉
- 赤い羽根つけ青年のウールの香 楠本憲吉
- 花まつり母の背ぬくし風甘し 楠本憲吉
- 夏霧やしなやかに行く一馬身 楠本憲吉
- あきかぜの山脈おのが影いだく 楠本憲吉
- 少年の商才かなし九月尽 楠本憲吉
- 掌にあれば乳房胡桃のごと痛し 楠本憲吉
- 採血や雨後なほ燃えて百日紅 楠本憲吉
- 三田二丁目の秋のゆうぐれの赤電話 楠本憲吉
- あきかぜの山脈おのが影いだく 楠本憲吉
- 少年の商才かなし九月尽 楠本憲吉
- 風立つや萩はもとより花こぼす 楠本憲吉
- ダリア明し身弱妻の辺抽ん出て 楠本憲吉
- 汝が胸の谷間の汗や巴里祭 楠本憲吉
- 春一番木々は根を締めおのれを鳴らす 楠本憲吉
- 乞食ゐて柳祭の昼めく夜 楠本憲吉
- 碑の腰を包む残雪三汀忌 楠本憲吉
- 三鬼忌のハイボール胃に鳴りて落つ 楠本憲吉
- 寒スバル裁かるがごと振り仰ぐ 楠本憲吉(1922-88)
- 汝が胸の谷間の汗や巴里祭 楠本憲吉(1922-88)
- 句碑除幕はらはら時雨誰が涙か 楠本憲吉
- 機影キラリと空に浮ばせ羽田小春 楠本憲吉
- 賀状書くしみじみ妻と二人して 楠本憲吉
- 弾き出すバツハ露びつしりと女学校 楠本憲吉
- ひらひらとコスモスひらひらと人の嘘 楠本憲吉
- 花宰相艶寿の二語を諾えば 楠本憲吉
- 水脈の初波しみじみ長し婚暦も 楠本憲吉
- クリスマスイブ更け心の襞も更け 楠本憲吉
- いつまで余後僕踏んで哭く朝のサタン 楠本憲吉
- 秋霖や心の傷を深めては 楠本憲吉
- 白髪一気に愛叫ぶ夜ぞ一葉忌 楠本憲吉
- 癒えたさの納豆糸引く切に引く 楠本憲吉
- 坂にひと太刀浴せしがごと初日の出 楠本憲吉
- シクラメン何支うべくこぞリ咲く 楠本憲吉
- 華麗なるここに死にざま秋の蝶 楠本憲吉