庄下川の桜は、岸辺の遊歩道にせり出している花の下を潜る快感と
土手に登って橋の欄干から花を見渡す快感の両方が味わえる。
↓右岸に赤い花のひと固まりが見える。
右岸の遊歩道から見ると
一株の木瓜
ドイツの田舎町で下宿した時の宿主は第1次大戦時、女性看護師として従軍した。その折の軍服姿の写真を見せてもらった。スリムな美人であった。よって私が出会った時には、80歳になっていた。近くの町で娘さんが外科医として生活していた。大柄の女性であった。離婚していたので、ミサに来ても聖体拝領はしなかった。孫はドイツ国内の医学部に入学できず、隣りの国の大学で、単位を稼いでいた。翌年の医学部の入学が決まっていて、その折にドイツで認定して貰えるらしい。言葉の習得はどうするんだと聞いたら、フランネル語の新聞を持ってきて見せてくれた。ドイツ語の知識があれば、発音はどうか知らないが私でも読めてしまうのである。
おばあちゃんの家の裏庭にはリンゴの木が育っていた。表庭には木瓜が咲いていた。
ドイツ語でこの花はなんというのかと聞くと、ヤパーニシュ・キルシュ (日本の梅)とのこと。
木瓜は日本原産のものかと思った。
ウィキペディアによれば原産地は中国だが、平安時代には日本に帰化しているよう。
ドイツで覚えた植物は、木瓜以外に、ルピナスとシャクナゲ。
ルピナスはルピーネン、シャクナゲは、ロートデンドロンで英語とほぼ同じであった。
1975年のことである。
ルピナスの例句なし。
木瓜は、2月に咲く木瓜を詠ったものが目立つ。
- 大津絵の筆のつづきに寒の木瓜 伊藤敬子
- 富士見ゆる日や寒木瓜の咲きそろふ 蓮尾あきら
- 寒木瓜や紬織場は中二階 吉田まつを
- 寒木瓜の蕾に色や明通寺 森田公司
- 寒木瓜の吹きさらされつ色深む 久保みどり
- 落日のふと寒木瓜の朱を点ず 加藤楸邨
- 木瓜紅く明るく遍路みち古ぶ 朔多 恭
- 木瓜垣の裾草も濃き島暮し 成田千空
- 平氏二十三代緋木瓜つぶらにて 鷲谷七菜子
- 古木瓜を咲かせて陶師沈寿官 清崎敏郎
- 腹空けばそのことばかり更紗木瓜 八木林之助
- 海風に木瓜の朱奪られ善守の堂 加倉井秋を
- 木瓜咲いて山に一つの喫茶店 村井 流水
- 木瓜の花今日一日をつゝがなく 福嶋 紀蘇
- 木瓜の花風吹くたびに山乾く 福田甲子雄
- 太陽にミルクをこぼす木瓜の花 杉浦はるか
- 月光を弾けば減る爪夜の木瓜 五島エミ
- ある街の木瓜の肉色頭を去らず 三谷 昭
- 烏には近よりがたき木瓜の花 大島邦子
- 寒木瓜に予報たがへずいつか雨 村田 脩
- 寒木瓜の芯に旦の自戒あり 小川双々子
- 寒木瓜や花を忘れし枝ありて 河野友人
- 寒木瓜の影や濡れたる土の上 川崎展宏
- 師の服を寒木瓜に縫ふ幼な顔 林 翔
- 寒木瓜の朱に天命をいただきし 長谷川秋子 『菊凪ぎ』『鳩吹き』『長谷川秋子全句集』
- 入院の記憶まじまじ寒の木瓜 長谷川秋子 『菊凪ぎ』『鳩吹き』『長谷川秋子全句集』
- 旭が木瓜に紅贈るごと誕生日 野澤節子 『雪しろ』
- はらわたに沁み逃げられぬ木瓜の紅(腹部疾患) 殿村菟絲子 『牡丹』
- 脱ぐ仮面なし花木瓜のねむきいろ 柴田白葉女 『夕浪』
- 恥らひて貧にな慣れそ木瓜の花 小林康治 『四季貧窮』
- 木瓜の紅は祖母の形見のどこかの色 加倉井秋を 『午後の窓』
- 木瓜の実の風に吹かれて昼下り 安藤龍子
- 木瓜の実を塀越しに見て立話 谷 和子
- 冬囲ひされて木瓜の実ころげ落つ 林真砂江
- ころがりて匂ふ木瓜の実みないびつ 則近文子
- 口ごたへすまじと思ふ木瓜の花 星野立子
- 木瓜咲くや漱石拙を守るべく 夏目漱石
- 母を訪ふひととき明し更紗木瓜 山田みづえ
- 旭が木瓜に紅贈るごと誕生日 野沢節子
- 木瓜の色褪せよ褪せよと雨の降る 高浜虚子
- 木瓜紅く田舎の午後のつづくなる 橋本多佳子
- 寒木瓜や病みて変らぬ片ゑくぼ 西尾照子
- 寒木瓜や先の蕾に花移る 及川 貞
- 寒木瓜や名刺用なき定年後 阿部寿雄
- 寒木瓜のほとりにつもる月日かな 加藤楸邨
- 心足るひと日寒木瓜もさかりなり 水原秋桜子
- 寒木瓜の咲きつぐ花もなかりけり 安住 敦
- 耳敏くあり寒木瓜のひらく夜は 阿部光子
- 寒木瓜や身の芯熱の抜けきれず 鈴木庸子
- 寒木瓜や外は月夜ときくばかり 増田龍雨
- 目を張りて寒木瓜と逢う夢疲れ 加藤楸邨
- 冷え冷えと宇治の荒瀬の生みし風 関 木瓜
- 木瓜の緋に手を出し刺され老いたるよ 守田梛子夫
- 花木瓜に絹ひく雨のふれにけり 小路智壽子
- 放哉や一輪咲きし朱き木瓜 弘田紀子
- 平氏二十三代緋木瓜つぶらにて 鷲谷七菜子
- 木瓜紅く田舎の午後のつづくなる 橋本多佳子
- 口ごたへすまじと思ふ木瓜の花 星野立子
- 肩を越す木瓜のまぶしき中通る 篠原 梵
- 木瓜咲きぬ歯と飯茶碗欠けもせで 秋元不死男
- 老妻のせちに水やる更紗木瓜 山口青邨
- 初旅や木瓜もうれしき物の数 正岡子規
- 紬着る人見送るや木瓜の花 許六
- 浮雲の影あまた過ぎ木瓜ひらく 水原秋櫻子
- 帰り咲く木瓜に筵を着せにけり 墓田まさこ
- 降りつつむ雨の明るし更紗木瓜 水原秋櫻子
- 浮雲の影あまた過ぎ木瓜ひらく 水原秋櫻子
- 木瓜莟む朝日や妻の全身に 千代田葛彦
- 木瓜白し老い母老いし父を守り 有働 亨
- 尺鮒の魚拓かかげて木瓜の鉢 瀧 春一
- 木瓜を見てをれば近づきくる如し 石田 波郷
- 身のまはり雑然たるに壺の木瓜 黒田櫻の園
- 木瓜燃えて真昼愁ふることもなし 相馬 遷子
- 木瓜咲くや巻藁にさす雛の首 岩城のり子
- 木瓜の昼子は空事を描きにけり 伊丹さち子
- 出土壺罅はしり木瓜ふゝみけり 黒木 野雨
- 木瓜あかし一言に足る母の愛 高木美紗子
- 更紗木瓜解けば風あり植木市 水原秋櫻子
- 寒木瓜の上を園児の笑ひ過ぐ 中村梶子
- 寒木瓜に耳かゆきまで日向なる 山田佐人
- 寒木瓜や先きの蕾に花移る 及川貞
- 寒木瓜や乳房吸ふ手の紅さし来 田中茗児
- 寒木瓜の日に日に淡く咲き満ちぬ 小川斉東語
- 寒木瓜のほとりにつもる月日かな 加藤楸邨
- 寒木瓜の咲きつぐ花もなかりけり 安住敦
- 寒木瓜や外は月夜ときくばかり 増田龍雨
- 旭が木瓜に紅贈るごと誕生日 野沢節子
- 木瓜燃えて真昼愁ふることもなし 相馬遷子
- 赤き木瓜揺れをはり我揺れゐたり 加藤楸邨
- 木瓜を見てをれば近づきくる如し 石田波郷
- 肩を越す木瓜のまぶしき中通る 篠原梵
- 口ごたへすまじと思ふ木瓜の花 星野立子
- 木瓜咲くや漱石拙を守るべく 夏目漱石
- 木瓜の花こぼれし如く低う咲く 大谷句仏
- 庭雀木瓜の散りしく上に孕む 皆吉爽雨
- くわりん落ち木瓜守りけり寒の内 梓月
- 寒木瓜の朱に天命をいただきし 長谷川秋子
- 寒木瓜や人よりも濃き土の息 福永耕二
- 木瓜の実のやゝ偏屈を愛しけり 岩岡中正
- 木瓜の枝を花が交錯させてゐし 後藤比奈夫
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今日の近隣公園