芍薬の盛りはもう少し後のようである。
純白の大きな花を持つ品種が印象的だった。
盛りはもう一つ先の日曜日かも。
芍薬をぶつきらぼうに提げて来し 長谷川 櫂
巴塚小さし芍薬ほぐれそむ 深見ゆき子
芍薬のゆさゆさと夜が生きてをり 鍵和田[ゆう]子
うら若き墨染衣玉芍薬 細見綾子
芍薬の珠や仔馬もつやゝかに 加藤かけい
芍薬のはなびらおつるもろさかな 久保田万太郎
芍薬の芽のほぐれたる明るさよ 星野立子
芍薬の咲き極りし大きさよ 川村 千英
芍薬のつぼみの間ながきかな 丸山 法子
二葉づつ雨の芍薬俄なり 増田 雅久
芍薬や雨の遊女を思いおり 遠藤秀子
芍薬の開く一片づつ静か 上野章子
芍薬の開かんとしてむづかれる 清崎敏郎
芍薬に逢瀬のごとき夜があり 森 澄雄
芍薬や友は富むゆゑみなやさし 山田みづえ
芍薬の蕾一夜に膨らみぬ 中沢北峰
芍薬にはねたる泥のかはきゐる 富安風生
芍薬のひしめき咲きてミニ花壇 倉内法子
芍薬や伊賀の古壷漏るまゝに 水原秋桜子
芍薬の花の大輪らしからず 高浜年尾
緑金の虫芍薬のただなかに 飯田蛇笏
芍薬の蕾をゆする雨と風 前田普羅
芍薬や枕の下の銭減りゆく 石田波郷
芍薬を嗅げば女体となりゐたり 山口誓子
左右より芍薬伏しぬ雨の径 松本たかし
芍薬の花にふれたるかたさかな 高浜虚子
芍薬の今かも出でし芽に跼む 皆吉爽雨
芍薬やつくゑの上の紅楼夢 永井荷風
芍薬の蕋の湧き立つ日向かな 太祗
芍薬や月山拝む山の邑 水原秋櫻子
芍薬や伊賀の古壺漏るまゝに 水原秋櫻子
芍薬の珠のひとつが珠のまま 吉田みち子
芍薬や枕の下の銭減りゆく 石田波郷
芍薬の開くひそかな音得たり 麓 美奈
芍薬や乾きてかろき吉野箸 黒木野雨
山芍薬霧より白き珠を解く 木下ふみ子
芍薬のほぐるる白き疼きかな 星島千歳
芍薬の珠持ち上ぐる確かさよ 堀古蝶
芍薬に魅入られし身の冷えにけり 東早苗
芍薬の全きままに夜へ移り 加畑吉男
芍薬や枕の下の銭減りゆく 石田波郷
芍薬を嗅げば女体となりゐたり 山口誓子
蕾日に焦げんとしては芍薬咲く 中村草田男
芍薬の蕾をゆする雨と風 前田普羅
朝の妻芍薬の芽をかぞへそむ 神生彩史
わが愁擬り芍薬の芽となりぬ 松永静雨
芍薬の芽の色濃くて風邪引きぬ 林原耒井
門は松芍薬園の雪寒し 舟泉
廊下ゆくまた芍薬の活けてある 岸本尚毅 舜
芍薬の咲ききつてをりをんなかな 谷口桂子
芍薬やつくゑの上の紅楼夢 永井荷風
芍薬や蕊の心まで真紅にて 鈴木花蓑
芍薬の芽のほぐれたる明るさよ 星野立子
芍薬の芽のまくれなゐ手毬唄 寺井瑞魚
芍薬を嗅げば女体となりゐたり 山口誓子
芍薬を嗅げば女体となりゐたり 山口誓子
芍薬や枕の下の銭減りゆく 石田波郷
三日しかもたぬ芍薬バカなのよ 高澤晶子
芍薬を売り残したり花車 横光利一
芍薬や医をわすれゐる今日の閑 水原秋桜子
芍薬の芯の湧き立つ日和かな 太祇
芍薬の蕾をゆする雨と風 前田普羅
蕾日に焦げんとしては芍薬咲く 中村草田男
芍薬の芽のほぐれたる明るさよ 星野立子
芍薬に雨狼藉を尽しけり 上野さち子
芍薬にあらで牡丹にありしもの 相生垣瓜人
法粥や芍薬隠り竃燃ゆ 木村蕪城
芍薬の芽のほぐれたる明るさよ 星野立子
芍薬の花の大輪らしからず 高濱年尾
芍薬を牡丹と思ひ誤りぬ 寺田寅彦
芍薬を二階へ運ぶ先みえず 清水径子
芍薬を売り残したり花車 横光利一
やはらかに闇に花閉づ山芍薬 伊藤敬子
父の魂失せ芍薬の上に蟻 深見けん二
芍薬やつくゑの上の紅樓夢 永井荷風
芍薬に夜が来て飛騨の酒五合 藤田湘子 春祭
芍薬を捨てゝあやめを挿しにけり 久保田万太郎 草の丈
芍薬のはなびらおつるもろさかな 久保田万太郎 草の丈
目覚しのぼたん芍薬でありしよな 一茶 ■文化九年壬甲(五十歳)
夜の芍薬男ばかりが衰えて 鈴木六林男 谷間の旗
土方(ひじかた)を放さぬ芍薬花の怖れ 永田耕衣 人生
芍薬のート夜のつぼみほぐれけり 久保田万太郎 流寓抄
芍薬や難思ゆたかなる舞漢 永田耕衣 人生
芍薬や盧地をひらけば奥の前 支老 俳諧撰集「有磯海」
芍薬や枕の下の金減りゆく 石田波郷
芍薬やあるじは餘念なく眠る 井上井月
芍薬の芽のほぐれたる明るさよ 星野立子
父の魂失せ芍薬の上に蟻 深見けん二
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純白の大きな花を持つ品種が印象的だった。
盛りはもう一つ先の日曜日かも。
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