(岡山)県道5号線を北へ行くと、西粟倉へ到達。その先は鳥取県である。
日曜農業ないし、農繁期のみの帰省農業と思われる田には、8月、稲より背の高いイヌビエが実っているのが、車の中からでも識別できる。
なかには畦に抜いた稗をきれいにそろえて置いている田にもお目にかかる。
イヌビエとタイヌビエは、小穂の大きさで区別できる。タイヌビエは小穂が大きいので、コロコロとした感じの花序になる。一方、イヌビエの詳細区分は図鑑によって意見が異なるので難しい。当面、詳細な区分をあきらめて全て「イヌビエ」としておくのも1つの対応の仕方であると思う。日本イネ科植物図譜(長田、1989:平凡社)を参考にまとめると、次のようになる。
小穂の長さ | 芒 | 生育地と花期 | |
イヌビエ E. crus-galli var. caudata | 3~4mm | なし~長い | 農耕地などの湿地に普通、花期は8~10月 |
ヒメイヌビエ E. crus-galli var. praticola | なし | 乾燥地でもなく、湿地でもない場所に生育し、花期は7~9月 | |
ケイヌビエ E crus-galli var. echinata | 2.5~4cm 若い時は淡い緑色 後に暗紫褐色となる | 河原などに生育し、大型で1mを越えることも多い。花期は9~10月 | |
タイヌビエ E. phyllopogon | 5mm | なし | 水田あるいはその周辺。花期は8~10月 |
この表が読み切れるほどの見識はない。
ともかく、こんな解説をネットの中で検索しながら、庄下川の川べりのイネ科植物を区分してみようかと思う程度には「成長」した。
ということで今日はカメラを買い損ねて、新規画像はなし。
2階のベランダの隅に置いている木立ベゴニア天の川
何本も幹が出て好きな方向に伸びて置いておく場所がない。
一本はベランダの囲いの高さを越えている
阪神尼崎駅前のコンテナ
赤、ピンク、色も三色
3日前まではなんとか写っていた。
中央花壇では今年もミレットを植えている。「正解」とは思わない。
見る限り、これは野草化しそうにはないが、イネ科は変異激しく環境適応するから
どうだろう
キビの例句以外に多い。
- 黍刈りし跡に黍植ゑ島の糧 岩橋 すが枝
- 黍畑の闇黒々と黍の立つ 井上 隆幸
- 唐黍もぎ唐黍よりも濡れてをり 長谷川秋子 『菊凪ぎ』『鳩吹き』『長谷川秋子全句集』
- 黍殻を焚くや露営の黍の飯 寺田寅彦
- 黍の葉に黍の風だけかよふらし 中川宋淵 命篇
- 黍行けば黍の向ふに入る日かな 夏目漱石 明治四十二年
- 黍酒のすこし甘口青邨忌 柴田冬影子
- 噴煙の低くながるる黍を刈る 稲島帚木
- そこばかり風の休める黍畑 清水基吉
- 黍吊つて南部曲屋かぜだまり 山元志津香
- 黍の闇もとより深し黒川能 向笠和子
- 愚直なるまで唐黍の丈揃ふ 佐藤英子
- 百姓は地を剰さざる黍の風 相馬遷子
- 唐黍に織子のうなじいきいきと 金子兜太
- 黍噛んで芸は荒れゆく旅廻 平畑静塔
- 阿蘇ぶりの黍より高し鳥威 金田眸花
- 十津川の山膚畑や黍嵐 米沢吾亦紅
- 芭蕉布のたちまちかわく黍嵐 久保田泉
- 黍嵐ゆきとどまりて家二軒 則元 京
- 父の頭が見えて九月の黍畑 宮田正和
- 黍青く生簀に土用鰻あり 瀧 春一
- 唐黍を提げて小さき母の旅 友成 ゆりこ
- 高黍に曲りかくるる登校児 田北 みつこ
- 道場の前の玉黍畑かな 宮本 旅川
- 子供等のよく通る道黍畑 高木 桐舎
- 唐黍の花の咲きゐる遺跡かな 茂上 かの女
- 唐黍の実へ手を伸べて今年四つ 古沢太穂
- 唐黍は葉ずれせはしく牛睡る 古賀まり子
- 井を汲むや唐黍わたる風荒し 桂 信子
- 松の幹そよぐ唐黍わかわかし 森 澄雄
- 男手は甥が頼りや黍あらし 岡本 眸
- 高原の白雲に濡れ黍熟るる 岡田日郎
- 照り返えす過去黍畑に雄の馬 金子兜太
- 黍嵐がらがらの家あそびおり 佃 悦夫
- 黍刈られ荒惨がくる天塩川 木村敏男
- 唐黍と柿女房の多き村 長谷川秋子 『菊凪ぎ』『鳩吹き』『長谷川秋子全句集』
- 黍干され山に音なき日なりけり 小林康治 『叢林』
- 鏡の中黍の嵐となりにけり 加倉井秋を 『胡桃』
- 黍嵐インカの都ありし跡 品川栄子
- 引き寄せる二度寝の枕黍嵐 佐藤のぶ女
- 黍嵐わが門野川より低き 宮下翠舟
- 風の戸の鳴る暁や黍嵐 桂 信子
- 黍嵐荒れたる村の嫁不足 田中政子
- 黍あらしそろばん鳴りて吾子もどる 能村登四郎
- 黍の穂の傾ぎて憶ふこと多し 沢木欣一
- 星座夜々さだまる峡の黍の花 木下夕爾
- 障子締めて炉辺なつかしむ黍の雨 杉田久女
- 鉄削る黍の空地を職場とし 秋元不死男
- 高原の白雲に濡れ黍熟るる 岡田日郎
- 砂糖黍積みて水辺に馭者憩ふ 大串 章
- 稔りては乱れそめにし黍畑 高浜虚子
- 砂糖黍かじりし頃の童女髪 杉田久女
- 杖にして主婦が買ひ来し砂糖黍 山口誓子
- 弓なりや子の手にもたす砂糖黍 百合山羽公
- 唐黍を亡き母のごと子に頒つ 石田あき子
- 唐黍の葉風に眩む岩の上 飯田龍太
- 唐黍を干していよいよ古庇 石田波郷
- 唐黍のがつしり実る単線区 河本好恵
- 唐黍をつかみてゆるる大鴉 飯田蛇笏
- 唐黍の葉も横雲も吹き流れ 富安風生
- 唐黍の葉ずれせはしく牛睡る 古賀まり子
- 唐黍を噛む白日に歯音立て 大野林火
- 初恋は遠し唐黍の葉が赤し 永井龍男
- 唐黍や強火にはぜし片一方 前田普羅
- 秋旱へろつく黍の葉に及ぶ 山口誓子
- 黍青く生簀に土用鰻あり 滝 春一
- 行水や肌に粟立つ黍の風 杉田久女
- 黍畑に月出て赭しキャンプの唄 星野麦丘人
- 夜の運河どこか黍引く音がする 伊藤淳子
- 杖にして主婦が買ひ来し砂糖黍 山口誓子
- 灰蒙々十里淡々黍の枯れ 金子皆子
- 黍の穂のゆらりゆらりと出入口 宇多喜代子
- 鉄削る黍の空地を職場とし 秋元不死男
- 黍噛んで芸は荒れゆく旅廻 平畑静塔
- 唐黍もぐ少年の音母の音 佐藤みさを
- 唐黍の押すなおすなと粒育つ 高橋幸子
- 唐黍の葉も横雲も吹き流れ 富安風生
- 唐黍に織子のうなじいきいきと 金子兜太
- 唐黍を焼く子の喧嘩きくもいや 杉田久女
- 黍嵐何かと言へば鶏つぶす 細田伸子
- 唐黍を干していよいよ古庇 石田 波郷
- 奥の温泉へ唐黍売の一輪車 白岩三郎
- 唐黍の影を横たふ舟路かな 水原秋櫻子
- 唐黍をもぐ手もぐ音たのしめり 及川 貞
- 唐黍を*もぐ快音や空青き 川村ひろし
- 高黍の穂も尋常に盆のまへ 水谷晴光
- 高黍や並び傾く二つ星 林 翔
- かげりなき夕日や砂糖黍を刈る 橋本榮治 麦生
- 黍を焼く母に火色の定まりて 種沢富美緒
- 黍の空群燕糸に結ばれて 田中青濤
- 黍の穂やいづこへ行くも風の中 岸秋渓子
- 潟昏れて黍殻を焚く小さき火 松林朝蒼
- 黍刈りしあとは用ひず火山灰畑 橋本鶏二
- 負ひ来し黍の音かも日暮れゐつ 中村四峰
- 黍の風妻の方言年過ぎつ 飯田龍太
- 夕焼の馬込は黍の坂ばかり 猿山木魂
- 夕黍や百姓の胸現はるゝ 森澄雄
- 黍咲けり見て楽しむに足らねども 水原秋桜子
縄文遺跡のあたり唐黍まるまると
先年三代丸山遺跡を訪ねたとき、山の温泉に浸かった。温泉の周りには黍畑が広がっていた。