蟻地獄短気なもんはでけまへん 田代青山
蟻地獄の建設現場を一度見たいと思った。
作東バレンタインホテルの東屋といってよい、建物の地面にいっぱい。
今年だけではない。20年以上あるいは、その前から営々。
- 擂鉢に蟻酸のたまる蟻地獄 中原道夫
- 蟻地獄隣りはけふは休むらし 中原道夫
- 履物を脱ぎ揃へあり蟻地獄 中原道夫
- 嗽して咳して秋の蟻地獄 中原道夫
- 空海の杖の止まりし蟻地獄 中原道夫
- 少年の昼なぐさまず蟻地獄 行方克己 昆虫記
- さらさらと揉み合ふ砂や蟻地獄 行方克己 昆虫記
- ひとすぢの蜘蛛の糸垂れ蟻地獄 行方克己 無言劇
- 律院の縁の高さよ蟻地獄 千原叡子
- 西行堂裏も表も蟻地獄 角川照子
- 待つものの静けさにゐて蟻地獄 桂 信子
- 丹の透ける木彫仏や蟻地獄 小島花枝
- 発掘の眼をのがれゐし蟻地獄 上田五千石
- 蟻地獄鐘楼の土知り尽す 石川桂郎
- 蟻地獄寂寞として飢ゑにけり 富安風生
- 蟻地獄松風を聞くばかりなり 高野素十
- 蟻地獄松風を聞くばかりなり 高野 素十
- 尼逝きて久しくなりし蟻地獄 山本 祐三
- 蟻地獄一つ一つに目が潜む 長谷川エミ
- 喪服着てのぞき込んでる蟻地獄 岸本マチ子
- まつさをなまんまるの空蟻地獄 大野朱香
- 木の影のそよぎてあをき蟻地獄 小松崎爽青
- 蟻地獄むずつと仁王の力足 北澤瑞史
- 蟻地獄まるはかなしきかたちにて 長谷川双魚 『風形』
- しんしんと太陽大き蟻地獄 柴田白葉女 『月の笛』
- 笑ひ仏の裾にしづまり蟻地獄 小林康治 『存念』
- 墓の裾蟻地獄あり暗からず 小林康治 『潺湲集』
- 蟻地獄見えて見えざる死を思ふ 河野南畦 『元禄の夢』
- 俳諧や斧鉞一閃の蟻地獄 石原八束 『風信帖』
- 否応もなく落されて蟻地獄 鷹羽狩行
- 墜ちし虫一瞬に消ゆ蟻地獄 高橋利雄
- 独り居の落ちてもみたき蟻地獄 相河美智子
- 蟻地獄在り山中の暦日に 松本たかし
- 蟻地獄孤独地獄のつづきけり 橋本多佳子
- 蟻地獄見て光陰をすごしけり 川端茅舎
- 蟻地獄砂の切味あざやかに 山口誓子
- 砂うごきゐる白昼の蟻地獄 鷲谷七菜子
- わが心いま獲物欲り蟻地獄 中村汀女
- 溺るるはあはれをんなの蟻地獄 稲垣きくの
- 石仏の視野のはずれの蟻地獄 芝 由紀
- 蟻地獄病者の影をもて蔽ふ 石田波郷
- 蟻地獄ほつりとありてまたありぬ 日野草城
- 蟻地獄寂寞として飢ゑにけり 富安風生
- 籠り僧ことりともせず蟻地獄 五十嵐播水
- 蟻地獄松風をきくばかりなり 高野素十
- 親鸞の分骨堂の蟻地獄 新村富代
- 蟻地獄観音様の前にあり 高田マサ江
- 蟻地獄まひるの僧の影を吸ふ 高橋邦夫
- 蟻地獄何事もなき砂落ちぬ 西岡正保
- 小祠に豆粒ほどの蟻地獄 細井将人
- あとずさりして落日の蟻地獄 とよなが水木
- 少年の孤独捕へし蟻地獄 清水節子
- 蟻地獄たしかに兵のこゑ聞けり 中沢匡司
- 蟻地獄仏足石の影およぶ 荒川幸恵
- 天平の伽藍の下の蟻地獄 野村美恵
- 海鳴りと底つなげゐる蟻地獄 広瀬とし
- 殺生のまだなき深さ蟻地獄 野村久子
- 蟻地獄夕日は灘に燃えしぶり 井口千枝子
- 倖せか蟻地獄など数ふるは 杉山岳陽
- 朗々の勤行堂下蟻地獄 邑上キヨノ
- 鍵ささぬ木喰堂や蟻地獄 渡辺立男
- 山中に時の澄みゆく蟻地獄 山上樹実雄
- 今日の雲けふにて亡ぶ蟻地獄 能村登四郎
- 蟻地獄病者の影をもて蔽ふ 石田波郷
- 砂うごきゐる白昼の蟻地獄 鷲谷七菜子
- 蟻地獄松風を聞くばかりなり 高野素十
- 生きものの気配は見えず蟻地獄 瀧 春一
- 荒涼と月面の景蟻地獄 瀧 春一
- マリア像影したまへり蟻地獄 水原秋櫻子
- 蟻地獄しづかに昼は移りをり 有働 亨
- 蟻地獄群るる病者の床下に 石田波郷
- 頬杖の石仏のまへ蟻地獄 宮原 双馨
- 倖か蟻地獄など数ふるは 杉山岳陽
- しづけさに虚しさに殖え蟻地獄 馬場移公子
- 蟻地獄森閑と飢ゑすすみをり 白岩 三郎
- 蟻地獄見てゐる沙弥のまだ拗ねて 静 良夜
- 蟻地獄遺し尽して怒り消ゆ 根岸善雄
- うつし世に吾が寸土なし蟻地獄 白岩 三郎
- 少年の孤独捕へし蟻地獄 清水節子
- 寸鉄のころがつてゐし蟻地獄 伊丹さち子
- 山鳴に馴れし静けさ蟻地獄 隈元いさむ
- さびしさは木の間から来る蟻地獄 佐野まもる
- 蟻地獄火伏の神の縁高き 半田順子
- 蟻地獄より秋草の生ひ出でて 佐々木六戈 百韻反故 吾亦紅
- 寺の子の遊び上手や蟻地獄 橋本榮治 越在
- 飼ふごとく僧の見てゐる蟻地獄 橋本榮治 麦生
- やや傾ぐ海龍王寺蟻地獄 橋本榮治 麦生
- 梅干の種の真紅の蟻地獄 近藤一鴻
- 蟻地獄女の髪の掌に剰り 石川桂郎
- わが心いま獲物欲り蟻地獄 中村汀女
- 蟻地獄すれすれに蟻働けり 加藤かけい
- 天使いま吾が肩に手を蟻地獄 景山筍吉
- 蟻地獄群るる病者の床下に 石田波郷
- 蟻地獄孤独地獄のつづきけり 橋本多佳子
- むごきものに女魅せられ蟻地獄 滝春一
- 蟻地獄かくながき日のあるものか 加藤楸邨
- 蟻地獄寂寞として飢ゑにけり 富安風生
- 蟻地獄見て光陰をすごしけり 川端茅舎
- 蟻地獄松風を聞くばかりなり 高野素十
- 蟻地獄みな生きてゐる伽藍かな 阿波野青畝
どれが建設途中か分からない。
蜷食えば蟻を食えばと雨兆す
一度ならず紹介しているがホテルのロビーに飾られているペイネ作品
↓は初めてかも。
今や美作でも煙の木は珍しくはない。